under construction or destruction ; Layer and Gap ここ数年に渡り、建築中或いは解体中(改装中)の仮囲いで覆われた建物や構造物をモチーフとして、その建物を覆うシートをキャンバスに見立て油彩による筆触を生かした抽象表現による作品を制作してきました。 現代の日本において、郊外には新興住宅地が広がり続け、都市部には高層ビルが伸び続けています。 新たな建物が建つことにより、かつてそこにあった建物や場所は忘れられ、そこに広がる風景は刻々と変化を続けていきます。こうして水平にも垂直にも広がり続ける現代はどれほどの拡張を続けていくのでしょうか。 そんな中、現在暮らしている奈良にはそこかしこに過去の歴史を語る建造物や遺跡があり、その上に人々の暮らしが発展してきた様があります。今見えている地表を現代とすれば、寺社仏閣や遺跡のように何百年と現代にあり続ける建造物もあれば、何メートルか、あるいは何十センチという距離に埋もれる、何百年前という過去があります。 ローマの街は文字通り街の上に街が重なっており、地下にはそのまま中世の街なみが残っていると聞きます。 そしてもっと大きく見ると地層として地球の歴史は積み重なり、記憶されています。 前述した建物の忘却、風景の変容を、これまではその刹那として仮囲いに表現していたが、日々の営みから見えてくるこうした時の重なりや、これまでも今後も続く変化をその永劫の流れとして表現できないかと考えています。 誕生した生命が幾許かの時を得て死を迎えるように、かつても、これからも建設された建物はいずれ解体される。 そして建設(解体)の間、建物を覆うシートはかつての場所の忘却と、新たに生まれる記憶の狭間を意味することになる。 人々が何を捨て、何を忘れ、何を見て、これから何を求めていくのか。 描かれた仮囲いのその向こうには、変わりゆく風景の移ろい、世情の変容があり、今が更新され未来が続いていく。
Hommage to Christo and Jeanne-Claude ”Wrapped Monument to Leonardo da Vinci” 5 1940×1300mm , oil on canvas, panel , 2019
1月28日から2月13日まで市内各所で開催される「Study:大阪関西国際芸術祭」内のアートフェアに参加する事となりました。 「Study:大阪関西国際芸術祭」と銘打たれたこのイベントは2025年の大阪万博の年に開催される大阪関西国際芸術祭のプレイベントとして企画されたものです。 その一環として行われるStudy Art Fairに東京のタグチファインアートから出展します。