Shigeru Nishikawa

Copyright(c) Shigeru Nishikawa

Sealed House 121-New National Stadium 2- 970×1940mm oil, graphite, metal powder on canvas, panel 2020

個展のお知らせ

Gap – Sealed House 2
oil, graphite on canvas, panel
1532×1295mm
2022

6月4日(土)から7月30日(土)まで個展を東京のタグチファインアートにて下記の通り開催します。今展示におきまして、新たな試みとなります「Layer」と「Gap」のシリーズを発表します。是非お立ち寄りください。

西川茂 個展 【Under Construction or Destruction:Layer and Gap】 
会期     :6月4日(土)〜7月30日(土)
開廊時間   :13:00 – 19:00(火ー土曜日)
休廊日    :日曜・月曜・祝日

タグチファインアートhttp://www.taguchifineart.com
〒103 – 0023 東京都中央区日本橋本町2-6-13 山三ビルB1F 
tel   : 03-5652-3660

under construction or destruction ; Layer and Gap
ここ数年に渡り、建築中或いは解体中(改装中)の仮囲いで覆われた建物や構造物をモチーフとして、その建物を覆うシートをキャンバスに見立て油彩による筆触を生かした抽象表現による作品を制作してきました。
現代の日本において、郊外には新興住宅地が広がり続け、都市部には高層ビルが伸び続けています。
新たな建物が建つことにより、かつてそこにあった建物や場所は忘れられ、そこに広がる風景は刻々と変化を続けていきます。こうして水平にも垂直にも広がり続ける現代はどれほどの拡張を続けていくのでしょうか。
そんな中、現在暮らしている奈良にはそこかしこに過去の歴史を語る建造物や遺跡があり、その上に人々の暮らしが発展してきた様があります。今見えている地表を現代とすれば、寺社仏閣や遺跡のように何百年と現代にあり続ける建造物もあれば、何メートルか、あるいは何十センチという距離に埋もれる、何百年前という過去があります。
ローマの街は文字通り街の上に街が重なっており、地下にはそのまま中世の街なみが残っていると聞きます。
そしてもっと大きく見ると地層として地球の歴史は積み重なり、記憶されています。
前述した建物の忘却、風景の変容を、これまではその刹那として仮囲いに表現していたが、日々の営みから見えてくるこうした時の重なりや、これまでも今後も続く変化をその永劫の流れとして表現できないかと考えています。
誕生した生命が幾許かの時を得て死を迎えるように、かつても、これからも建設された建物はいずれ解体される。
そして建設(解体)の間、建物を覆うシートはかつての場所の忘却と、新たに生まれる記憶の狭間を意味することになる。
人々が何を捨て、何を忘れ、何を見て、これから何を求めていくのか。
描かれた仮囲いのその向こうには、変わりゆく風景の移ろい、世情の変容があり、今が更新され未来が続いていく。

2022年5月 西川茂