新作として色数を制限して作った作品がある。
建物を覆うシートの色は、基本的にはその建物を撮った写真に映り込んだ色を落とし込む。
背景の色は、風景を描いた後に白く塗り潰す事から始め、グラファイトや様々な色を用いた均一な色面を多く用いてきた。
最近は特に建物を覆うシートを、より流動的な絵の具のタッチで描くようになった為、背景はその動きを活かすために硬質なグラファイトや、金属粉などを用いる事が多くなった。
今回の新作では、シートと背景の色を同系色で制作している一連の作品がある。背景は筆触を消した均一なミニマルな表現ともいえる。
モチーフとなるシートで覆われた建物の色が、背景の色面と同系色となる事により、建物自体が背景に同化していく事となる。
これまでは上に乗せる色を活かすための背景が、絵の具のタッチを飲み込む色面へと変化する。
結果、これまでよりタッチを意識的に活かすことにつながったのではないだろうか。
ペインタリーに、且つコンセプチャルに。